日本人の金融知識は低すぎてやばい!?

日本人は、海外の人と比べて、金融リテラシーが低いとよく言われています。

とはいっても、きちんと家計管理を行っている人も多くいますし、日本人の金融リテラシーは本当に低いのでしょうか?

金融リテラシーとは、お金に対する知識や判断力のことを言います。

日本人の金融知識のレベルを調べるために、政府が2016年に初めて「金融リテラシー調査」という大規模な調査ものを行いました。

結果、アメリカやイギリスなどと比べて、圧倒的に日本人の金融リテラシーが低いことがわかりました。

今回は、2019年に行われた金融リテラシー調査の最新結果を見て、日本人の金融リテラシーの実態を解説していきます。

1.日本人の金融リテラシーは低すぎる

「なぜ日本人の金融リテラシーは低すぎるのか?」

答えは簡単。日本人は金融教育を受けていないからです。

金融教育を受けずに社会に出るので、いざ自分で事業を始めようとするとわからないことだらけだったりするのです。

海外では、学校教育で金融教育を行っているのが一般的で、金融に関する基礎知識や資産運用の方法についても学んでいます。

日本政府は、日本人の金融リテラシーを上げるべく、日本人を対象とした大規模な金融リテラシーの調査を行いました。

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでも同様の調査との比較では、やはり日本人は海外よりも金融リテラシーが低いという結果でした。

では、具体的にどのような調査が行われたのか見ていきましょう。

2.金融リテラシー調査について

金融リテラシー調査は、金融広報中央委員会によって2016年と2019年に行われました。

調査の目的

18歳以上の個人の金融リテラシー(お金に対する知識や判断力)の現状を調査すること。

対象者

全国の18~79歳の25000人を対象とした調査。

調査方法

インターネットによるアンケート調査を実施。

米国FINRA金融業界監督機構)などの、海外機関による同種の調査との比較が可能な内容になっています。

具体的な金融リテラシーの分野と正答率は以下の通りです。

金融リテラシーの分野 正答率(前回)%
家計管理 52.3(51.0)
生活設計 50.8(50.4)
金融取引の基本 74.0(72.9)
金融・経済の基礎 49.8(48.8)
保険 54.4(52.5)
ローン・クレジット 54.4(53.3)
資産形成 54.8(54.3)
外部の知見活用 65.6(65.3)
合計 56.6(55.6)

引用元:金融広報中央委員会

前回の2016年に行われた調査の係数と比べて、+1.0%上回った結果となってはいるものの、全体的に見て正答率50%程度の項目が多数あることが目立っています。

3.日本人が苦手な金融リテラシーの分野

金融リテラシー調査の結果、次の5つの分野が特に日本人が苦手ということがわかりました。

  • 家計管理
  • 金融取引
  • 金融・経済
  • 保険
  • 資産形成

それぞれ具体的に、どのような認識が低かったのかを見てみましょう。

①家計管理

家計管理に関する問題では、クレジットカードの分割払い(リボなど)が、高金利の借金と同じという認識を持っている人が少ないことがわかりました。

特に、クレジットカードのリボ払いの知識がなく、利用してしまっている人は要注意です。

リボ払いに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

②金融取引

金融取引に関する問題では、複利の考え方を理解できる人が少ないことがわかりました。

100万円を年率2%で運用した場合の利息の計算や、その5年後の利息の計算ができない人が多く、正答率は50%をきっており、日本人の約2人に1人は複利の仕組みがわからないということになります。

複利について詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。

③金融・経済

金融・経済に関する問題では、インフレの考え方を理解できている人が少ないことがわかりました。

インフレが起きると、お金の価値が下がり、物の価値が上がります。
反対に、デフレが起きると、お金の価値が上がり、物の価値が下がります。

日本人の約2人に1人は、この考え方がわからないということです。

④保険

保険に関する問題では、保険とはどのようなリスクに対して入るものなのかを理解できている人が少ないことがわかりました。

保険会社に言われるまま保険に加入したり、貯蓄性や損得で保険に入る人がいますが、保険の本来の目的は「確率は低いけれど起きると負担が大きいリスクのものに入る」ことです。

⑤資産形成

資産形成の問題では、金融商品の購入を検討する際の適切な対応を理解できている人が少ないことがわかりました。

金融商品の中には、複雑な仕組みのものが数多く存在しています。

しかし、仕組みをよくわかっていなくても「売れているから」「金融機関が信用できるから」などといった判断で、金融商品を購入してしまう人がいるのです。

調査はこのような結果でしたが、中には、きちんと家計管理ができたり投資を始めている人もいます。

金融リテラシーが高い人は、どのような特徴があるのでしょうか?

4.金融リテラシーが高い人の特徴

①金融経済情報を頻繁に取り入れている

金融リテラシーが高い人は、積極的に金融経済情報を取り入れようとする人が多いです。

投資をせずに金融経済情報をただ見ているだけでは頭に入りにくいですが、自分が実際に投資を始めていれば、自然と情報を探しに検索する機会が増えるのです。

②少額からの資産運用を始めている

投資を始めるには、まとまったお金が必要なイメージを持っている人も多いと思いますが、最近では少額からの投資もできるのをご存じですか?

「少額では意味がないのでは?」と感じるかもしれませんが、投資に必要なのは利益だけではありません。

少額でも投資の実践経験を積んでいくことによって、将来的に人生を豊かにしてくれる貴重なスキルとなります。

少額投資のメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

③自分のスタンスが確率されている

日本人の特徴として、横並びの意識が高い傾向があります。

「投資をしている人が少ないから自分もしない」「人気だからこの商品を買う」といったように、他人の行動に左右されやすいのです。

しかし、金融リテラシーが高い人は、自分のスタンスがしっかりと確立されているので、周りの行動に振り回されることなく、自分が良いと思ったものに反応できます。

5.まとめ

日本人の金融リテラシーについて解説してきました。

金融リテラシー調査の結果、日本人の金融に関する知識や判断力が低すぎることがわかりました。

【日本人が苦手な金融リテラシーの分野】

  • 家計管理
  • 金融取引
  • 金融・経済
  • 保険
  • 資産運用

クレジットカードの仕組みやリスク、金融商品や保険商品を選ぶ際の判断の仕方などを理解できていない人が多いことがわかりました。

【金融リテラシーが高い人の特徴】

  • 金融経済情報を積極的に取り入れている
  • 投資を始めている
  • 横並びの意識にのらない

今後、日本の人口は今後どんどん減っていき、2060年には人口が8700万人にまで減り、超少子高齢化になると言われています。

今の社会保障制度を維持することが難しくなり、自分のことは自分で守っていかないといけない時代がやってくるのです。

なんとなく老後に不安を感じている人や、投資に興味はあっても行動できていない人など、まずは始めやすい「つみたてNISA」や「iDeCo」で一歩を踏み出してみると良いでしょう。

つみたてNISAやiDeCoについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。