傷病手当金について
「病気やケガで働けなくなったらどうしよう」と、不安に感じている方は、きっと多くいますよね。
公的制度である傷病手当金は、ご存じですか?
病気やケガで働けなくなっても、この制度を利用することで、お給料の約60%を受け取ることができるのです。
知らないだけで、ただ不安に感じている方のために、今回は傷病手当金について解説していきます。
医療保険の必要性について知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
目次
1.傷病手当金とは何?
傷病手当金とは、健康保険に加入している方が業務外で病気やケガをし、会社を休まないといけなくなった時に支給されるお金のことを言います。
2.傷病手当金の4つの支給条件
傷病手当金を受け取るには4つの条件があり、すべてに該当した場合に支給対象となります。
①業務外の事由による病気やケガの療養で休養
傷病手当金の対象になるのは、「業務外」での病気やケガでの休養です。
業務上や通勤災害によるものでは、労災保険の対象となるので、傷病手当金の支給対象にはなりません。
②仕事に就くことができない状態であること
「仕事に就くことができない状態」とは、自身の判断ではなく、医師などの意見をもとに判定されます。
仕事の内容などを考慮し、「労務不能状態」と医師が判断した場合に支給対象になります。
③連続する3日間を含む4日以上仕事ができなかったこと
①の事由によって仕事を休んだ日から連続して3日間(待機)の後、4日目以降に仕事に就けなかった日に対して支給されます。
「待機」には、有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれます。
注意点としては、会社を休んだ日が「連続で」3日間というところ。
例えば、連続して2日間会社を休んだ後、3日目に会社に行った場合には対象になりません。
引用元:全国健康保険協会
④休業した期間に給与の支払いを受けていないこと
傷病手当金は、給与が支払われている間は支給されません。
ただし、給与支払額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、差額を支給されます。
3.傷病手当金の受給期間
傷病手当金は、支給開始日から最長1年6か月の間、受けとることができます。
支給開始日とは、3日間の待機後の4日目のことを言います。
ここで注意が必要なのが、「1年6か月分支給される」という意味ではない、ということです。
例えば、1年6か月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再度同じ病気やケガで休業することになった場合、復帰した期間も1年6か月に参入されることになります。
支給開始日から1年6か月を超えた場合は、仕事ができない状態であるとしても、傷病手当金は支給されません。
引用元:全国健康保険協会
では、実際どれくらいの金額を受給できるのかを見ていきましょう。
4.傷病手当金で受け取れる金額
傷病手当金の受給額は、以下の原則的な計算式によって算出されます。
過去12か月の各標準報酬月額の平均額÷30×3分の2
大体お給料の60%くらいが受け取れると考えてよいでしょう。
5.傷病手当金の申請方法
①申請期間を会社に相談する
傷病手当金を申請するには、事前に申請期間(療養のために休んだ期間)をどの期間にするのか、会社や健康保険組合に相談します。
1か月ごとに区切って申請をするのか、複数月をまとめて申請するのかなど、申請期間を会社に相談して設定するのです。
その際に、振込先口座などの確認を合わせて行いましょう。
②申請書を入手する
傷病手当金の申請書は、会社または加入している健康保険から受け取ることができます。
健康保険のホームページからダウンロードすることも可能なので、チェックしておきましょう。
③申請書の記入
申請書は4部あり、本人2部、会社1部、医師1部となっています。
- 事業所証明欄・・・出勤や欠勤の状況・賃金など
- 医師記入欄・・・傷病名や医学的所見、労務不能の期間など
- 本人記入欄・・・医師の記入を参照し、傷病名や初診日などを記入
4部全て揃っていないと申請ができません。
申請書以外に添付書類が必要な場合もあるので、早めに準備をしておくと良いでしょう。
④会社と健康保険組合に申請方法を確認し申請
会社によっては、申請書4部が揃ったら会社に提出し会社が申請する場合と、本人が直接申請書を健康保険組合に郵送する場合があります。
勤めている会社の総務などに確認をしてから申請しましょう。
申請から受給までの期間は健康保険組合によって異なり、2週間ほどで受け取れる場合や、2か月経ってから受け取れる場合などもあります。
6.まとめ
傷病手当金について解説してきました。
傷病手当金とは、健康保険加入者が業務外での病気やケガによって、仕事に就けなくなった際に受け取れるお金のことです。
【申請の条件】
- 業務外の事由での病気やケガ
- 働けない状態
- 連続する3日間を含む4日以上仕事ができない
- 休んでいる間に給与を受け取っていない
【受給できる期間】
最長で1年6か月間まで
【受給できる金額】
過去12か月分の各標準報酬月額÷30×3分の2
【申請方法】
- 申請期間について相談
- 申請書を入手
- 申請書の記入
- 会社か健康保険組合に提出
傷病手当金は、業務外での病気やケガが原因で仕事が付けない人であれば、受給のハードルが高くない制度です。
この制度を知らずに無理をして働いて、本当に動けなくなってしまったという方もいるかもしれません。
そうならないためにも、公的制度に関わらず、お金の勉強をして知識武装しておくことが大切です。