つみたてNISAとは
みなさんは「つみたてNISA」という言葉を聞いたことはありますか?
一言で簡単に言うならば「投資で増えたお金が一定額まで非課税になる制度」です。
「投資」という言葉を聞くと、『自分には難しそう・・・』『怖くてできない!』と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、つみたてNISAとはそんな投資初心者をはじめとした幅広い年代の方にとって、とても利用しやすい仕組みとなっています。
この記事を読んで、つみたてNISAの概要・特徴・始め方を学んでいきましょう!
目次
1.つみたてNISAという言葉
①NISAができるまで
そもそも「NISA(ニーサ)」とは何でしょう。
NISAとは愛称であり、正式には「少額投資非課税制度」と言います。
つまり、『少額の投資であれば税金を課しません。』ということです。
一般的に投資を行い、得た利益には税金(所得税15%・住民税5%)がかかります。
2003年より投資促進・景気回復を目的に、証券優遇税制(10%の税金は課せられるが限度額は無制限)が実施されました。
これを廃止する代わりに2014年1月よりスタートしたのが「一般NISA」です。
その後、2016年には「ジュニアNISA」、2018年には「つみたてNISA」が開始されました。
現在NISAにはこの3つの種類が存在しており、それぞれ対象となる年齢や年間の非課税枠が異なります。
これより先は「つみたてNISA」について詳しく解説していきます。
②つみたてNISAとは
つみたてNISAは特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度として
2018年1月よりスタートしました。
NISAが導入された背景には、『現役世代を中心とした一般の人に安定的に資産形成をしてもらいたい!』という国の想いがありました。
しかし、一般NISAの利用者は退職世代が多く、«貯めてから投資»という発想であったため、利用者数はなかなか伸びませんでした。
これらを«投資しながら貯める»思想へと変えていくために、ドル・コスト平均法のメリットがある積立形式のNISAとして生まれたのがつみたてNISAです。
※ドル・コスト平均法とは?
値段が上下する商品を定期的に決まった額だけ購入する方法で、平均購入単価を安くできる仕組みです。
購入金額を決めておけば値動きに気を取られなくて済むため、価格が安いときは多く購入でき、高いときは少なく購入できることから、投資初心者向きの手法と言えるでしょう。
この後に出てくる、「長期・積立・分散投資」を実践するうえで重要となります。
ただし、上がったり下がったりではなく、右肩下がりになるような場合はドルコスト平均法の効果を得られないこともあり、注意が必要です。
2.つみたてNISAの特徴
①投資できる商品について
つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁による一定の基準をクリアした投資信託・ETF(上場投資信託)です。
初心者でも扱いやすい、長期・積立・分散投資に適する商品となっています。
ただし、どの金融機関でもすべての商品を購入できるわけではないため、
口座を開設する際は取扱商品数をチェックすることが大切です。
※長期・積立・分散投資とは
①長期投資:長期にわたって金融商品を保有し、資産形成を行うことで安定した収益を得る方法。
②積立投資:自分が決めたタイミング・金額で定期的に購入する方法。
定量購入と定額購入の2種類があります。
③分散投資:投資先や購入する時期を分散させることで、価格の変動を抑え、安定した利益を狙う方法。
資産の分散、地域の分散、時間の分散の3種類があります。
②投資する金額について
口座を開設する金融機関にもよりますが、投資金額は100円と少額から可能であり、自分にあった無理のない金額で始められます。
1年間に投資できる金額は40万円までと決まっています。
その頻度は毎月・毎営業日・毎週・隔月・ボーナス月のみと自由な設定が認められており、毎月に設定したうえでボーナス月は上乗せといった形も可能です。
金額・頻度を設定さえしてしまえば、自動で購入してくれるので手間が少なく、投資初心者には有り難いですね。
③投資する期間について
非課税となる期間は最長20年間です。
ちなみに一般NISAは基本5年、最長10年のため、つみたてNISAの非課税期間はかなり長く、積立効果を実感しやすいでしょう。
投資可能期間は2018年~2042年で、現時点では延長予定もロールオーバー制度はありません。
つまり、今現在(2021年)からつみたてNISAを利用すると、積み立ての上限額は 40万円×22年=880万円 となります。
ただし、非課税期間は最長20年なので、非課税枠で運用できるのは最大でも、40万円×20年=800万円 までなので注意が必要です。
※ロールオーバー制度とは?
一般NISAの制度で、非課税期間が満了したものを翌年の非課税枠に丸ごと移すということ。
ロールオーバーした額分だけ非課税投資枠を使い、新規に投資できる額が少なくなります。
3.つみたてNISAの始め方
①金融機関を決める
つみたてNISA口座は、1人1口座のみ開設できます。
1年に1回のみ金融機関を変更することも可能ですが、変更しようとする年の9月末までに金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。
つみたてNISAはどの金融機関で口座を開設しても、手数料は無料です。
そのため、以下のポイントを考慮しながら金融機関を選びましょう。
【金融機関の決め方ポイント】
①扱っている商品の本数が多いところを選ぶ。
選ぶのに迷う人は、対面で相談できる大手の金融機関を選ぶのも良い。
②最低積立金額を確認する。金融機関によって月100円から積立可能な商品もあり。
③積立金額の設定が柔軟であるところを選ぶ。
非課税枠に余裕が出た場合、積立金額を増額できるところが好ましい。
④引き落とし方法(証券総合口座、銀行口座、クレジットカード引き落とし)を確認する。
普段使っている銀行口座からお金が引き落とせる金融機関を選ぶのが投資初心者向き。
⑤サポートの充実度を確認する。
各社のウェブサイトの解説やQ&A、対面の質問窓口やコンタクトセンターの有無、応対などをチェックする。
②口座を開設する
※今回は投資初心者向けのお話なので、過去に投資経験がなくNISA口座をもっていないことを前提として話していきます。
金融機関として、証券会社を選んだ方は証券総合口座とつみたてNISA専用口座、銀行を選んだ方は投資信託口座とつみたてNISA専用口座(普通預金口座も持っていない場合は開設必要)の開設が必要となります。
証券総合口座・投資信託口座には、「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」の3種類があります。
投資で得られた利益には税金がかかりますが、金融機関が税金計算を行ってくれるのが「特定口座」です。
さらに「源泉徴収あり」にすると、自動的に税金を納めてくれます。
一般口座を選択すると自分で税金計算をし、確定申告をする必要があります。
よって投資初心者は、特定口座の「源泉徴収あり」を選んだほうが手間が省けて良いでしょう。
③入金手続きを行う
入金手続きは以下の2ステップでできます。
- 入金方法を決める
- 積立金額を決める
④商品を決める
金融機関が取り扱うラインナップから運用する商品を選びます。
つみたてNISAで選べる商品は、大別すると2つのタイプがあります。
①株式100%:投資者から託されたお金をすべて株式に投資して、利益を得ようとする投資信託。
②株式○%+債券○%といった複合資産型:株式に債券やリート(不動産)といった複数の資産を組み合わせて、利益を得る投資信託のこと。株式一本に偏らず均整のとれた状態から、別名「バランス型投資信託」とも呼ばれる。
複数の資産に分散投資が可能で、自動的にリバランスを行ってくれるバランス型投資信託は投資初心者向けと言われています。
ただし、バランス型投資信託ならどれでも良いわけではなく投資する資産の組み合わせ方によって、利益や価格変動が変わってくるため、注意が必要です。
詳しい内容は後日、「つみたてNISAの商品の選び方」という記事にて解説しますのでお待ち下さい。
※リバランスとは?
株価、債券価格が値上がりしたり値下がりしたりすると資産の配分(株式○%+債権○%)が当初の比率から次第にずれていきます。
そこで、値上がりしたものは売って、そのお金で値下がりしたものを買い、当初の比率の資産分配に戻すことをリバランスといいます。
4.【結論】つみたてNISAのメリットは?
最後に、今までの内容をまとめ、つみたてNISAのメリットをお伝えします。
①つみたてNISAの運用利益は最長20年間非課税である
②つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁により厳選された商品であり、初心者でも扱いやすい
③金額・頻度を設定さえしてしまえば、自動で購入してくれるので手間が少ない
④投資金額は100円と少額から可能であり、自分にあった無理のない金額で始められる
以上の4点となります。
もちろん、つみたてNISAはあくまで「投資」なので、元本が減ってしまうリスクもあります。
しかし、長期・積立・分散投資に特化した投資初心者向けの資産運用となっており、挑戦してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。
記事の中でもお伝えした通り、今後は「つみたてNISAのデメリット」「つみたてNISAの商品の選び方」に関しても記事を書いていく予定です。
それらも踏まえながら、みなさん自身でつみたてNISAはやったほうがいいのか考えて頂けると幸いです。
参考
つみたてNISAの概要 : 金融庁
安心して投資するための3つのコツ!長期・積立・分散|投資の時間|日本証券業協会
つみたてNISA(積立NISA)ナビ|初心者も分かるやさしい解説サイト
つみたてNISA(積立NISA)を始めるなら、おすすめの証券会社はココだ!手数料や投資信託の取扱数などで比較した「つみたてNISA」のおすすめ証券会社とは?|つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2021年]|ザイ・オンライン