【少額で不動産投資】REIT(リート)不動産投資信託とは?

不動産投資といえば現物資産を思い浮かべる方が多いかと思いますが、REITで不動産投資をすることができるのをご存じですか?

2003年に開設されたREIT不動産投資は、現物の不動産投資とは違って気軽に始めやすく、近年個人投資家や初心者から注目をされています。

今回は、「REIT不動産投資は、資産に組み入れる価値があるのか?」や「そもそもREIT自体がよくわからない」という方のために、REITについて詳しく解説していきます。

1.そもそもREIT不動産投資って何?

REIT(リート)不動産投資とは、その名の通り不動産を対象とした不動産投資信託のことを言います。

個人投資家などから集めた資金で不動産を購入し、運用することによって得られる利益を投資家へ分配金として返していく商品です。

誰でも少額からできる不動産投資として近年注目されており、東証リート指数は開始から18年で約4倍ほどの好成績をあげています。

※東証リート指数とは、東京証券取引所に上場しているREIT全銘柄を対象にした指数で、日本のREITマーケットの状況を把握するために東京証券取引所が算出している指数のことを言います。

REITは、株に近い性質を持ち、現物の不動産投資とは別物です。

  • 「REITと不動産投資とどちらが良いの?」
  • 「自宅=不動産だから、自宅を所有しているのならREITは不要では?」

このような疑問を抱く方も多くいますが、REITは投資信託証券であり、現物資産ではないので区別をしましょう。

不動産は数千万円と掛かるので手が出ない方でも少額から投資できるので、多くの個人投資家や初心者向きの商品と言えるでしょう。

 

たとえば、1億円の不動産を購入しようとすると大変ですが、

100人で100万円ずつ出し合って1億円の物件も購入し、

その収益を100人で分け合いましょう!

というのがREIT(小口の不動産投資)と呼ばれています。

 

2.REIT不動産投資の仕組み

REITについて理解を深めるには、このように全体の規模感を知っておくことがとても大切です。

まずは、REITの市場規模は一体どれ位のものなのかを頭に入れておきましょう。

引用元:三井住友トラスト・アセットマネジメント

REITの市場規模は、世界全体で見た場合、アメリカと日本だけで世界の約4分の3を占めています。

世界の株式市場の時価総額は約1京319兆円、リートは世界の合計で約117兆円リートは世界全体で見ると、株式市場の2%にも満たない規模感です。

では、REITの仕組みについてイメージしやすいように、東京ディズニーランドの近くのヒルトン東京ベイというホテルを例に見ていきましょう。

ディズニーランドの近くという好立地で、購入ができたとしたら、かなり自慢ができますね。

引用元:ヒルトン東京ベイ

ヒルトン東京ベイの購入価格は、およそ300億円。一般的な個人投資家には手が出せない好物件です。

しかし、ホテルを購入したい人が3万人いて、1人あたり100万円の出資が可能であれば、皆で購入することができます。

REITは、このように皆でREITに出資して不動産を購入し、そこからあがった利益は皆で分配するという仕組みになっています。

300億円は現実的ではありませんが、100万円の出資であれば可能な範囲になってくるので、個人投資家や初心者が始めやすい資産運用方法と言えます。

ちなみに、ヒルトン東京ベイは、実際にジャパンホテルREIT投資法人というREITの所有物件であり、1人の所有物ではなく皆で購入した物件です。

3.REIT不動産投資のメリット

なんとなくREIT不動産投資のイメージができたところで、具体的にREITのメリットについて見ていきましょう。

①少額から不動産投資ができる

REITは、大勢の個人投資家から資金を集めるので、1人当たりは小口でOK

金額の低いREITで、1口2万円代から購入できるものもあり、少額からでも個人では買えないような一等地に物件を持つことができ、高額物件のオーナーの1人になれるのです。

②高利回りの分配金を期待できる

日本のREITはJ-REITという不動産投資法人が、資金集めや運用などを行っています。

J-REITは、利益の90%以上を投資家に分配すると、法人税が課されない仕組みがあるため、J-REITもバンバンと利益を投資家に分配してくれるのです。

  • Jリートの分配金利回りの平均は3.5%前後
  • 東証一部の配当利回りは平均2%前後
  • 10年国債の利回りは平均0%前後

このように、J-REITの配当利回りは相対的に高くなっているため、安定した分配金を受け取りたい方には魅力的な投資商品と言えますね。

③専門家が分配投資をしてくれる

金融機関や不動産会社、コンサルのスペシャリストが投資先を厳選し、分散投資をしてくれます。

投資エリアや住宅やオフィスといった物件の種類まで厳選してくれるので、素人の個人投資家が選択するよりもかなり良い条件の物件を選ぶことができます。

④好きなタイミングで売買できる

REITは、いつでも売買することが可能です。

現物の不動産投資は、相対取引をするため、売りたいと思ってもすぐには売れない場合が多く、買ってくれる相手を探すのが非常に大変です。

REITは、東京証券取引所を通じて株式の様にリアルタイムで売買をすることが可能です。

4.REIT不動産投資を始める際の注意点

「気軽に少額から始められて高額物件のオーナーの1人になれるなら始めてみようかな」と思った方も多いはず。

ですが、REIT不動産投資を始めるにあたって注意しておくべき点もあるので、しっかりと頭に入れておきましょう。

①元本保証ではない

REITは、株式の様に大きく値下がりするリスクがあり、元本保証ではありません
100万円投資したからといって、100万円が保障されているわけではないので注意が必要です。

②地価の下落などで分配金が減ることもある

REITは、間接的に不動産投資をしているので、買った物件自体の賃料が減ったり、土地の値段が下がってしまったことによって分配金が減る可能性もあります。

③災害による物件が損壊するリスク

地震や津波などの災害による物件の損壊リスクがあります。

④金利変動で分配金が減ることがある

リートは個人投資家から集めた資金の他に、銀行からの借り入れもしているため、金利が上昇すると分配金にまで影響を受けることになります。

例えば100万円借入していて金利1%であれば毎年1万円の利息を払うわけですが、金利が2%になった場合は、毎年2万円の利息を払わないといけなくなります。

金利の変動の影響を受け、分配金が減ることもあることは、頭に入れておきましょう。

5.REIT不動産投資を始めるための3ステップ

メリットも注意点もわかったところで、いざREITを始めたいと思っても、どうしたら良いかわからない方も多いかもしれません。

次に、REIT不動産投資の始め方を、3つのステップにまとめてみました。

【ステップ①】資産全体の何%を投資するかを決める

REITを始めるには、まず各資産との割合を調整し、REITを資産全体の何%にするかを決めなければいけません

これは、アセットアロケーションと言い、投資家のリスク許容度や目標などに応じて、リスクとリターンのバランスを取るための投資戦略です。

例えば、資産100万円の場合、次のような配分の仕方もあります。

  • 株:50万円
  • 債権:30万円
  • REIT:20万円

REITは小さい市場なので、配分を多くすると変動が大きくリスクとなります。

考え方は人それぞれですが、REITは全体の10%前後の配分にするのが無難と言えそうです。

【ステップ②】どの国に投資するかを決める

日本やアメリカ、オーストラリアやイギリスといった国から、どこのREITに投資するかを決めます。

世界のREIT市場で、アメリカは約68%を占めているので、アメリカは選択肢に入れておきたいですね。

【ステップ③】銘柄を選ぶ

具体的な銘柄を選んでいきます。

J-REITに投資する場合

60種類以上の銘柄から好きな銘柄を選んで投資をすることができます。

J-REITは、6つのセクターに分けられ、各セクターごとに特徴が異なります。

J-REITのセクター 特徴
住宅(居住用マンションなど) 景気の影響を受けにくく分配金が安定して受け取れる。
都市部を中心として投資しており入居率が98%前後と高い。
・今後コロナの影響で空室状況が上がる可能性もある。
オフィス(オフィスビルなど) 市場規模が最も大きいセクター。
景気の影響を受けやすく、賃料や稼働率が安定しない。
・国内外の経済状況もよく見極めて投資する必要がある。
ホテル オフィスと同様で景気の影響を受けやすい
外国人観光客の増減によって変わる。
・対外関係やブーム、病気の流行などの影響を受けやすい。
商業施設(ショッピングセンターなど) ECなどを利用する人が増えたことによって、小売系の実店舗は収益が悪化している。
物流(倉庫などの物流センターなど) ネットショッピングが流行り出したために業績は好調
賃料や稼働率が安定しており、分配金水準の急激な増減が少ない。
・今後成長性が見込めるセクター。
ヘルスケア(高齢者向けのシニア住宅) 日本での社会的ニーズが高く成長性があり賃料・稼働率ともに安定している。
景気の影響を受けにくい

この他に、6種類全部のREITを複合的に投資するREITもあり、満遍なく投資することができたり、どこかに集中して投資することもできます。

「銘柄選びが面倒」「なんだか難しい」と感じるようなら、日本のREIT市場全体に連動するインデックスファンドを購入することもできます。

アメリカのREITに投資する場合

IYRというアメリカの不動産投資信託があります。
100銘柄程あるアメリカの不動産信託の詰め合わせパックのような商品で、アメリカの不動産に手広く投資したい方向けの商品です。

日本以外の世界中のREITに投資する場合

世界中のREITに連動するインデックスファンドを購入することができます。

これらすべての商品は、ネット証券から購入が可能です。

6.まとめ

REIT不動産投資とは、投資家からお金を集め不動産を購入し運用、そこからあがった収益を投資家に分配金として返していく不動産投資信託です。

【REITのメリット】

  • 少額から始められる
  • 高利回りの分配金
  • 不動産に精通した専門家が分配投資してくれる
  • いつでも売買できる

【REITの注意点】

  • 元本保証ではない
  • 地価の下落や金利変動で分配金が減ることがある
  • 災害によるリスクがある

現物不動産とは違い、株の性質に近いREITは、少額から投資ができ売買がいつでもできるので、個人投資家や初心者が始めやすい投資方法です。

始める際は、どこの国にどれ位、どうやって投資をしていくのかを決めるアセットアロケーションをしっかりとしておきましょう。

REIT不動産投資は、コロナショックがあったのにも関わらず好成績を出していたり、アメリカのREIT指数もコロナ前の水準に近づいてきている状況です。

このような点から、REITは資産に組み入れることを検討する価値があると言えそうです。